50年以上連れ添った妻が病気をしてから、私たちの生活は大きく変わった。昔はよく旅行や散歩に出かけていたが、今では家の中で過ごすことがほとんどになってしまった。歩くのが難しくなり、外出する機会も減ってしまった。
最初のうちは私が車で送迎していたが、車いすの乗り降りが大変で、次第に外に出ること自体を避けるようになった。妻も「私のために無理しないで」と遠慮するようになり、気づけば二人とも外出しない生活が続いていた。そんなとき、娘が「あいしーえふ介護サービスを使ってみたら?」と提案してくれた。
はじめは「家族がやればいいのに」と思ったが、いざ利用してみるとその便利さに驚いた。運転手の方は親切で、スロープを使って妻を安全に車へ乗せ、到着後も降車を手伝ってくれた。これなら安心して外出できると思った。
久しぶりに訪れた公園では、桜が満開だった。車いすのまま散策できる道を進み、ベンチに腰掛けた。風が気持ちよく、妻は「こんなに外の空気が気持ちよかったなんて、忘れてたわ」と笑った。その笑顔を見た瞬間、「もっと外に連れ出してあげよう」と強く思った。
介護タクシーを利用すれば、また二人の時間を取り戻せる。これからは季節ごとに外出を計画し、妻と一緒に四季を感じながら過ごしたいと思う。