モームの短篇選の上がとても面白くて気に入った。下巻はまだ手元にないので先に購入しておいた「月と六ペンス」を読み始めた。
こちらは絶版の危機を免れてずっと読まれているとのこと。訳者は短篇のときと同じ人を選んだので相変わらず読みやすく問題なく進んでいる。
モームはゴーギャンをモデルとしてこの作品の主人公を描いたとのことで、どこまでが着想を得た部分でどこからが完全な創作なのかはもちろん分からないけれどとにかく面白い。善人も悪意を抱くし悪人にも善意はある、優しさや厳しさ、高潔さと卑猥さ、穏やかさと鋭さなど二面性は誰のうちにも存在して首尾一貫した人間などこの世にいないのだというユーモアが最高に利いている。
彼が何に駆り立てられてそれまで築き上げた安穏で高級な生活を捨て画家になったのか、まだ読了はしていないがこれからが楽しみだ。残りが50ページほどなので味わってゆっくり読みたい。